あらすじ
倒木が道を塞いでいる。重機が来るのは来週。だから、彼らが行く。
相馬は乗り物をロボットに変える。凛は丸いものから怪獣を出す。ユキは色を集めて別の誰かに変身する。世界を救えるだけの力を持った三人の仕事は、『社会貢献研究所』の名のもとに行われる災害復旧と、道路の啓開と、町の困りごとだった。世界の危機は、来ない。
ある夜、ユキが光の粒になって消える。追いかけた先にあったのは、海の向こうの港だった。自分たちの力がどこから来たのかを、そこで初めて知る。
養成所での訓練が始まる。崖から飛び降りて仲間を受け止める。氷の上で磁石に振り回される。誰も理由を知らない伝統競技を、教官は「伝統だ」の一言でやらせる。くだらない。役に立つとも思えない。同期のアヤが、ある日いなくなる。席がひとつ空いたまま、誰も追わない。
やがて、世界を綺麗に保ってきた存在が海から現れる。選ばれなかったもの、汚れたもの、沈められてきたもの。三人はそれを、運ぶことにする。武装はない。持っているのは、道を空ける技術だけだ。
――第二部。千年を生きた吸血鬼カイと、王女を名乗る娘リラが、街に現れる。緑が家を、人を、名前を呑んでいく。呑まれた者は苦しまない。ただ、揃う。
今度の仕事は、給水と、避難誘導と、名簿の読み上げだ。