あらすじ
咥えていたトーストが、床に落ちた。
「妹が、血の繋がらない義理の妹だった」——転校初日の朝、父から告げられたその一言で、音無悠の日常は静かに壊れた。
動揺を抱えたまま迎えた新しい教室。隣の席になったのは、誰もが憧れる「完璧なお嬢様」雪平千鶴。だが放課後の裏庭で目撃したのは、スマホでソシャゲに課金しまくる、素っ気なくてポンコツな素顔だった。
「見なかったことにする」——そう告げた悠に、彼女は毒づきながらも、少しずつ心を開き始める。
誰にでも軽く優しいギャル・一ノ瀬みあ。彼女の明るさの裏に隠された、誰よりも「深入りされること」を恐れる孤独に気づいたとき。義理の妹となった結月が、これまでとは違う熱を帯びた瞳で自分を見つめていると気づいたとき——悠は、少女たちがそれぞれの理由で身にまとった「鎧」に、否応なく触れていくことになる。
「困っている人を放っておけない」。それが、幼い頃にヒーローに憧れた悠の、直しようのない性分だった。
壊すのではない。暴くのでもない。ただ、鎧ごと抱きしめられるくらい、強くなりたい。
誰も知らない少女たちの素顔と、まだ自分の想いにさえ気づいていない鈍感な少年——不器用な優しさが連鎖する、青春群像ラブコメ、開幕。