あらすじ
公爵夫人の役目は、夫の隣で余計なことを言わず、華やかな衣装を身にまとい、夫をたてて、笑っていること。
そう信じるレオナルド・ヴァレンティン公爵にとって、婚約者エレノア・アシュフォードはあまりにも「可愛げのない女」だった。
帳簿を持ち込み、浪費を注意し、領地の財政を心配するエレノアに、レオナルドは「それはお前の仕事ではない」と言い放つ。華やかで自分を立ててくれる男爵令嬢リリアを寵愛するレオナルドは、ついにエレノアとの婚約を解消する。
しかし彼は知らなかった。
ここ五年間、赤字寸前だった公爵領の財政を立て直し、領民の生活を守り、公爵家が何不自由なく浪費できる状態を維持していたのは、他ならぬエレノアだったのだ。
「もう、私の仕事ではありませんから」
そう告げてエレノアが公爵家を去った瞬間、止まっていた歯車が一気に崩れ始める。