あらすじ
祖母の遺品から見つかった、古いラジオの真空管とモールス信号の暗号表。
そこには、現代を生きる私たちが知らない、昭和二十年春の伊江島(いえじま)で紡がれた「命がけの恋」が遺されていた。
十六歳の千代が灯火管制の夜、断崖の湧水地「ワジー」で出会ったのは、数日後に特攻隊員として飛び立つ十九歳の瞬。
昼間は立派な軍人を演じる彼が、夜の暗闇の中、壊れたラジオのノイズに紛れて千代にだけ見せた「本当の涙」と「死への恐怖」。
「戦争が終わったら、一緒にタッチューの頂上に登ろう」
絶対に叶わない約束を抱え、笑顔で彼を空へと見送った千代。
直後、島を襲う激しい戦火(六日戦争)の中、通信室のヘッドホンから流れてきたのは、世界で千代にしか解けない、瞬からの最後の暗号電文だった。
時を超えて明かされる、あの日瞬が遺した「本当の願い」とは――?
美しく哀しい青い海とユリの島を舞台に描かれる、時空を超えた究極の純愛ストーリー。
※この物語はフィクションです。実在の人物、団体、過去の事件等とは一切関係ありません。