あらすじ
貴族の家に生まれた少年、アレン。
十歳のある日、彼は突然、自分の未来を見る力に目覚めた。
そこで見たのは――最悪の未来。
魔王によって国は滅び、家族は死に、親友も、幼馴染も、許嫁も皆殺しにされてしまう。
何度未来を見ても、結末は変わらない。
ただ一つだけ。
アレン自身が「世界の敵」になれば、未来を変えられる。
そう悟った彼は、大切な人たちを守るため、自ら悪役になることを決意する。
家族を裏切り。
親友を傷つけ。
幼馴染を遠ざけ。
愛する許嫁との婚約すら、自らの手で壊す。
すべては、彼らに自分を憎ませるため。
そして十年後。
アレンは、かつて愛した者たちの手によって討たれる。
――これで世界は救われる。
誰にも真実を知られることなく。
誰にも感謝されることなく。
アレンは、最期までそう信じて死んだ。
しかし、彼の死後。
残された者たちは知ってしまう。
自分たちが生きてこられたのは、すべてアレンが陰で命を懸けて戦っていたからだった。
自分たちに嫌われるためについた嘘も。
自分たちを強くするために仕組んだ戦いも。
世界を救うために積み重ねた犠牲も。
そのすべてを知った彼女たちは――壊れてしまった。
そして十年の時が巻き戻る。
再び十歳の身体となったアレンは、もう一度未来を見る。
そこに映っていたのは、やはり国が滅びる未来。
ならば、もう一度同じことをすればいい。
今度こそ完璧に悪役となり、愛する人たちを守ろう。
そう決意するアレン。
だが――前世とは何かがおかしい。
幼馴染の態度が。
許嫁の態度が。
親友たちの態度が。
少しずつ、前世とは違っている。
そしてアレンはまだ知らない。
一度目の人生で自分を殺した彼女たちが、何を知り、何を失い、何を望んでいるのかを。
これは――
世界を救うために嫌われようとする少年と、彼を二度と失いたくない少女たちによる、二度目の人生の物語。