あらすじ
「私たちの高校に、花火ドロボウが潜んでいるらしい」——八月のある日、そんな噂が全校に広がった。
今年の文化祭は開校八十周年。卒業生の寄付と、今年で引退する花火職人の心意気で、八百発の打ち上げ花火が夜空を飾るはずだった。犯人は誰か、そもそも本当に来るのか。根拠のない噂話に浮かれる生徒たちをよそに、警備は固められていく。
しかし文化祭前夜、厳重な見回りとカメラをすり抜けて、花火は本当に盗まれてしまう。侵入の痕跡も映像もないまま、消えたのはちょうど百発。誰が、どうやって、何のために?
蝉の声の残る教室、屋台の匂い、そして夜空に開く大輪の花。ひと夏の噂の果てに明かされる、切なくてあたたかい嘘の物語。