あらすじ
王都セレスティアの南通りにある、小さなパン屋《麦の灯》。
店主マルクの店には、半年前から毎朝決まって一頭の小さな竜がやってくる。
赤茶色のうろこに、小さな翼。
マルクが勝手に「ポル」と名づけたその竜の目的は、焼きたての丸パンを一つ食べることだった。
そんな何でもない毎日が続いていたある日、竜の保護所で働く男が店を訪れる。
「その竜は、半年ほど前に保護所からいなくなった個体です」
毎朝ここへ来るポルには、帰るべき場所があるのか。
それとも、自分でこの場所を選んだのか。
これは、竜と人が共に暮らす王国の片すみで営まれる、小さなパン屋と一頭の竜の物語。