あらすじ

新卒で入った会社で出会った、地元も近い同期のA。 彼氏がいた私に、Aはなぜか先輩たちの前でだけ「好きだ」「いい女だ」と繰り返した。二人きりになればそんな素振りはなく、私はずっと「先輩に可愛がられるためのネタにされているだけ」と思っていた。 それなのに、酔いつぶれても「会いたかった」と言われたり、私のいないところで「会いたい」と話していたと聞いたりするうちに、心の片隅にひとつの疑問が残った。 ――もしかして、少しくらい本当に私のことが好きだった? Aとどうにかなりたいわけではない。私は結婚し、二人の子どもにも恵まれた。 それでも、学生時代に一度も「相手から好きになってもらう」という経験がなかった私は、Aの気持ちが本物だったと思えたら、どこか救われるような気がしていた。 そして出会いから約十年。 Aが会社を辞めることを知る。 もう会う機会もほとんどなくなるのなら、最後に聞いてみようか。 「あの頃、私のこと本当に好きだった?」 そんな欲が初めて顔を出した。 これは、同期への恋心の話ではない。 誰かに選ばれたことのある自分でありたかった私が、十年越しの答えを「聞かない」と決めるまでの話。

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小説を読もう2026/08/25
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