あらすじ
流した涙が、ルビーになる。
少年アリエスは、その奇跡体質を理由に名門ヴァルディア侯爵家へ囲われ、涙を「仕事」として求められていた。
「いい子だ」
「君のおかげだ」
「君は役に立っている」
そう褒められるたび、アリエスは「役に立てば、ここにいていい」と思うようになり、自分の望みすら分からなくなっていった。
そんな彼の前に、大怪盗ルージュ・エスメラスが現れる。
「無限のルビーを生む秘宝」――【無限紅晶】の噂を聞き付けた彼女は、それを奪うためにこの場へ現れたのだ。
だが、ルージュはアリエス自身を盗まない。彼を縛る証拠だけを奪い、目の前にずっと存在していた鳥籠の扉を開く。
「ここに残るか、ここから飛び立つか。選ぶのは君自身だ」
けれど、自由になっても、すぐに自分の人生を選べるわけではない。
自分を犠牲にすることは、本当に「自由」なのか。
――これは、宝物として生きてきた少年が、自分の人生を取り戻していく物語。