あらすじ
七歳で王太子の婚約者に選ばれたクレマンティーヌは、ずっとそう教えられてきた。
外面は国に。
内面は夫に。
感情は、相手が必要とする形で見せなさい。
だから彼女は、怒らず、泣かず、嫉妬も見せず、完璧な公爵令嬢として育った。
けれど王太子テオドールには、それが「心のない女」に見えた。
やがて彼は聖女を愛し、卒業夜会でクレマンティーヌとの婚約を破棄する。
彼女は静かにそれを受け入れた。
「わたくしの外側は、この国のものでした。けれど内側は、七歳のあの日から、すべて殿下のものでございます」
その言葉の意味を、テオドールが知るのは少しあと。
クレマンティーヌが死んだ、その翌日からだった。