あらすじ
中学生の頃、真壁透真は自作した機械仕掛けの猫で東京都知事賞を取った。
それを境に、学校での日々は少しずつ壊れていった。
階段から落とされ、プールでは頭を水中に押さえつけられた。
それでも幼なじみの神代晃だけは、いつも透真の味方をしてくれた――はずだった。
高校二年。
透真たちクラス三十一人は、突然異世界へ召喚される。
晃が得たのは、望む結果へ至る因果を引き寄せる神授級能力《天命》。
かつて透真をいじめていた火野大河も、圧倒的な身体能力を与える《剛鬼》を手に入れる。
一方、透真に与えられたのは――
《構造視》
物質および魔力構造を視認する。
ただ「見える」だけ。
知識がなければ、何を見ているのかさえ分からない。
戦えない透真は勇者一行から外れ、王立魔導工房で魔導具を直すことになる。
だが透真は知っていた。
壊れるものには、原因がある。
魔導具も。
水車も。
魔獣の身体も。
そして、人間だって同じなのかもしれない。
これは、突然最強になった少年がいじめっ子を殴り返す話ではない。
怖いものは、今でも怖い。
それでも、自分を壊した相手の言うことを、いつまでも聞いている必要はない。
ハズレスキル《構造視》を得た少年が、壊れたものの仕組みを一つずつ知り、自分を縛っていた関係から抜け出していく異世界転移譚。