あらすじ
両親を亡くし、厳しい親戚のもとで育った俺には、たった一つだけ心の支えがあった。小学校の卒業式の日、一緒に写真を撮ってくれた初恋の女の子——九条聖良。
彼女の隣に立てる人間になりたい。そう願って、辛い毎日も、恋愛を禁じられた男子校での生活も耐えてきた。
ところがある日、俺は見知らぬ豪邸で目を覚ます。スマホに残された情報を調べていくうちに、ここが俺の知る世界とは異なる世界だということ。そして、男女比が1;139の世界だと知った。
突然の出来事に理解することを拒む中、ふと気づく。俺が大切にしていた写真が消えていることに……。
失意の中、男子校で恋愛とは無縁だった俺でも、この世界ならモテるんじゃないかと半ば自分に言い聞かせるように、気持ちを切り替えた春休み。義務である一年間の共学への入学という幸運に心躍らせる中で出逢った。
かつて、告白することも出来なかった初恋の相手——九条聖良に。
「……九条さん?」
思わず零れたその名前に、彼女は不思議そうに首を傾げる。
「以前、お会いしたことがありましたか?」
彼女にとって、俺は初めて話す男性。けれど俺は知っている。あの日、俺に一歩踏み出す勇気をくれた少女を。
綺麗になった彼女を見た瞬間、胸の奥にしまっていた想いが、再び動き始める。もう一度、彼女の隣に立てる自分になりたいと。
これは、男女比が狂った世界で、男性から好意を持たれることを想定していない少女と、彼女の隣に立つために再度努力し始める主人公の、ちょっと不器用な恋の物語。