あらすじ
『死者が眠る国で、君だけが夢を見る』
この国では、十五歳になると「夢」を捨てる。
悲しみも、後悔も、大切な人との思い出も。
すべてを《眠りの塔》に預ければ、人は苦しまずに生きていける。
――それが、この国の常識だった。
十五歳の少女・リラも、夢を捨てるために塔を訪れる。
しかしそこで告げられたのは、信じられない事実だった。
「あなたは、十五年間一度も夢を見たことがありません」
その直後、崩れ落ちる《眠りの塔》。
そして現れたのは、幼い頃から何度も夢に出てきた、顔の見えない少年だった。
「やっと……見つけた」
少年の名はカイ。
十八年前に死んだはずの王子。
彼はリラに告げる。
この国が「夢」と呼んで集めているものは、ただの夢ではない。
それは――人々から奪われた「記憶」だった。
そしてリラ自身もまた、かつて世界を救うために一人の少年を殺した少女の生まれ変わりだった。
なぜ、彼女は彼を殺したのか。
なぜ、カイは三百年もの間、彼女を探し続けていたのか。
そして、この世界から消された「本当の歴史」とは――。
忘れることは、本当に幸せなのか。
悲しみを失えば、人は幸せになれるのか。
これは、忘れられた記憶と、死んでもなお残り続ける想いを巡る、ひとりの少女の物語。
**「忘れないで」**
その言葉の本当の意味を知ったとき、きっとあなたは、この物語を最初から読み返したくなる。