あらすじ
まもるは、いつも気づいてくれる人だった。よりがため息をつけば、理由を無理に聞き出そうとせず、ただ「俺にできることがあったら、言えよ」と言う。小学校の頃、髪を引っ張られて泣いていたよりを助けてくれたのも、まもるだった。満員電車が苦手なよりのために、高校でも自然と隣に立ってくれる。よりにとって、まもるは誰よりも安心できる存在だった。
でも、それは同時に、よりが「守られる側」であり続けることでもあった。
三年生になり、進路の話が現実味を帯びてくる頃、まもるの様子が少しずつ変わっていく。成績は良いのに、何がしたいのか自分でもわからない。三者面談で先生に指摘され、まもるは初めて弱音をこぼした。「俺、本当に、何がしたいのか、わかんねえんだよ」
いつも自分を見てくれていた人が、今は苦しんでいる。それに気づいたのに、よりは何もできなかった自分に気づく。
次の日、よりは初めて、自分からまもるに歩み寄る。「大丈夫だよ、まもる。」その一言だけで、まもるは救われる。そして気づく。「俺も、ずっとよりに支えられてた」と。
守る人と、守られる人。その境界線が、静かに溶けていく。二人はそれぞれ違う道を選びながらも、対等に支え合う関係へと変わっていく——幼なじみから始まった、優しさが行き来する物語。