あらすじ
晦姉妹は呪われている。
そんなふうに言われ始めたのがいつだったのか、僕達はもう覚えていない。
高校入学前の事故が原因だったのかもしれないし、集合写真が心霊写真になった時だったかもしれないし、或いはもっと前、それこそ僕達が生まれた時からそう言われる宿命だったのかもしれない。
僕達にはそう言われて然るべき理由があって、否定する理由が無かった。
とにかく僕達の周囲ではいつもおかしなことが起きていたし、不穏な影があった。
ある日届いたダイレクトメールも、その類だった。
つらつらと綴られる己がどれだけ不幸かという文章。その最後には青く染まったリンクがあり、そこをタップするととあるスレッドに飛ばされた。
タイトルは「不幸自慢の手紙」
呪いを集め、競い、煮詰めていく現代の蠱毒がそこにあった。
目についたのは、僕達の家から程近い場所でこれから自殺をするというもの。
「まだ間に合うかも」
僕達は、そうして夜闇に沈もうとする街に飛び出していった。
これはおかしなダイレクトメールから端を発する怪異譚。
呪物のレートを曰くによって吊り上げる、呪物商・篝灰色と出会い、既に片足を突っ込みかけていた深淵に踏み出すきっかけになった話。
嘘と本当、ガワと中身、それぞれの大切なものが織り成す、美談にはできない話だ。