あらすじ
次の満月の夜に山脈の主、竜神への生贄として捧げられる。
少女フォルンの運命は生まれたときから決まっていた。
両親はいない、育った家も持たない、死病を抱えた孤児。
『聖餐の巫女』とは聞こえがいいが、村の外れの小屋に置かれた厄介者扱い。
『山脈の主である竜神様へ、村を守って貰うために差し出される』
その役目にフォルンは文句はなかった。
蔑まれ、疎まれ、恐れられて生きてきて。
そういうもの言い聞かされてきたから。
村の外に出て、生きていけるとも思えなかったから。
契約の満月まであと数日に迫った日。
森でフォルンが薪を拾っていたら、闇霊に襲われた。
聖魔戦争と呼ばれる世界大戦の爪痕、戦禍の亡霊。
――――死ぬ。
結界の外へ出て、生贄にもなれずに死ぬ。
そう思った瞬間、フォルンは恐怖に目を閉じた。けど
『君、水を一杯くれないか?』
音もなく現れた黒衣の男が一瞬で亡霊を斬り払った。
大剣と大砲を背負った、無愛想な男ストルム。
彼との出会いが、フォルンの運命を大きく変えようとしていた。