あらすじ
婚約者ジュリアンの名代として、十六歳から十年間、ロゼルヌ公爵領の会計・調達・救済・対外交渉を担ってきた伯爵令嬢エリシア。
けれどジュリアンは彼女の仕事も体調も顧みず、幼馴染を助けるため、また帰還を延期する。
「君なら一人でも大丈夫」
その手紙を読んだ夜、エリシアは決めた。
婚約者としての最後の仕事は、自分の婚約を解消すること。
意思通知、財務分離、閉印。手続きを進める中、王立会計院の監査で明らかになったのは、彼女が「補助」の名の下で担ってきた六人分の仕事と、記録されなかった労働の対価だった。
誰かの名で働き続けた女性が、自分の名と生活を取り戻し、仕事にも恋にも対等な条件を選び直す。