あらすじ
「知りたくないのか、お前は」
この大陸に、正しい地図は存在しない。世界は神の造形物であり、その姿を写し取ることは冒涜とされる。教会が配るのは都市ごとの粗い絵図だけ。誰も、自分がどれほどの広さの上に立っているのかを知らない。
エルフの娘ナスターシャは、里を出た。百年前に姿を消し、三十年前に異端者として処刑された父の形見を、取り返すために。
たどり着いた屋敷にいたのは、その形見を二束三文で競り落とした男だった。
アーノルド・ウェイン、四十九歳。王国有数の商会を一代で築き、引退したばかり。残された時間は二十年もない。それでも彼は言う。この地図の続きを描く、と。
歩幅を数える。坂で狂う。夜通し歩いて、帳尻が合わない。
星を読み、縄を引きずり、二人は少しずつ大地の形を暴いていく。
これは、世界の姿を知ろうとした男と、それを最後まで認めなかった女の話である。
※本作の執筆にあたり、生成AI(Claude)を、資料調査・アイデア整理・誤字脱字チェックの補助として利用しています。本文の執筆はすべて著者によるものです。