あらすじ
毒入り晩餐の責任を押しつけられ、王都を追われて十年。田舎食堂で名を隠す料理人レオニーのもとへ、かつて拾った皿洗いの少年エミリオが現れる。王宮料理長となった彼の招請を二度退けたレオニーが、三度目に求めたのは料理人組合による公開審理だった。署名入り発注票、納品記録、元給仕人の宣誓。三つの証拠が示す時刻をつなぎ、レオニーは旧主家の家令ヴィルヘルムへ問いかける。「ご自分の署名です。どうぞ、ご自分の声でお読みください」失敗すれば厨房資格は永久返上。一方、住居も護衛も恋も一皿に盛ろうとする年下料理長には、別契約を突きつける。奪われた名を自ら取り戻し、重すぎる愛にはきっちり境界を引くお話。