あらすじ

婚約者を義妹に奪われたとき、テレーゼは怒らなかった。 怒る理由がなかった。彼女は三つのことを知っていたからだ。 フェルディン伯爵家に金がないこと。あの人に二歳の子がいること。あの家の小切手を、もうどこの銀行も受け取らないこと。 三月十四日、テレーゼは同じ日に三人へ、同じ三つを順に伝えた。 義妹に。継母に。父に。 義妹は微笑んで、こう言った。 「そういうことを言うのは、みっともないと思う」 継母は二つめの途中で席を立った。父は「女同士のことだ」と言った。 テレーゼはその夜、伝えた内容を書面にして、公証人に預けた。 書かなければ、なかったことになるからだ。 ――四か月後、義妹が部屋に駆け込んでくる。 お姉様、助けて、と言いながら。

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小説を読もう2026/08/24
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