あらすじ
ヨランダは誕生日のデートで、婚約者ヘンリクから「幼馴染みが寝こんでいるんだ」と告げられた。祝いの言葉もなくプレゼントだけをテーブルに置き、彼は去っていく。
ヘンリクの心はいつも病弱な幼馴染みレナーテにあった。デートを反故にされたのはこれで何度目か。子爵家の娘であるヨランダには、伯爵子息である彼との政略結婚を覆す力はない。
(このままでは、社交界で笑いものにされてしまう)
そんなヨランダの元に届いたのは、当のレナーテからの思いがけない謝罪の手紙だった。
ある夜、出席した夜会でヨランダは信じられない光景を目にする。
病弱だと聞かされていたはずのレナーテが公爵令息と優雅に踊っていたのだ。その姿を見たヘンリクは嫉妬と怒りに我を忘れ、彼女に詰め寄る。
「レナーテ! なぜここにいるんだ!」
衆人監視の中、晒される彼の異常なまでの執着にヨランダは気づく。
(もしかして、レナーテ様も彼に迷惑しているのでは?)
婚約者にはもう愛想が尽きている。
それよりもヨランダは、勇気を出して幼馴染みを拒絶したレナーテのことが気になって――。