あらすじ
「勇者様、魔王を倒して世界をお救いください」
柊勇人(ひいらぎゆうと)の目の前にいた女性が両手を胸の前で組んで跪きながら訴えかけてきた。
同じセリフはもう100回聞いてきた、これで101回目だ。
いい加減うんざりだった。
「なんで俺が選ばれたんだ?」
「えっと、女神さまが異世界で魔王討伐に相応しい方を選んで――」
理由を聞いて、さらに気が重くなった。
「過去○○回、魔王を倒しました」
「○○時間で魔王を倒しました」
「魔王による被害者数ゼロです」
女神は、そんな過去の実績で選ぶような無能だ。
でなきゃ101回も異世界召喚されるはずがない。
しかたなく了承すると、装備とお金をくれるのだが――50ゴールドとヒノキの棒。
これで魔王を倒せというのだから、笑わせてくれる。
そりゃあ、これで魔王が倒せたらコスパ最強かもしれんが。
「もういい、行くわ」
「勇者様、ご武運を」
そして魔王城の目の前に向かう。
魔王を討伐するため、ではない。
「どうせ次の世界へ召喚されるなら、俺はここでスローライフを目指す!」
召喚されまくった勇者の異世界スローライフが今、始まる。