あらすじ
~登場人物の紹介とあらすじ~
i) 登場人物の紹介
芽唯(めい)
物語の主人公。文書や筆跡の細部を見抜く鑑定士。目覚めると、かつて読んだ小説で偽造事件を起こし破滅する「悪役・芽唯」になっていた。自分だけ助かるためではなく、偽造によって人生を奪われる人々を救うため、原作とは違う選択を重ねていく。
雅哉(まさや)
西洋式ホテル「青鷺館」の若き支配人。客への気配りに長け、新しい文化や仕組みも積極的に取り入れる。悪女という評判ではなく、現在の芽唯自身を見て判断し、調査でも彼女を支える。
涼希(りょうき)
警察の文書犯罪担当。誰に対しても一定の距離を保つ冷静な青年。芽唯にも先入観を持たず、証拠だけを基準に真相を追う。
優(ゆう)
時間厳守を信条とする民間配達人。草原に置かれていた謎のオルゴールを発見する。詳細な配達記録が、やがて偽造事件を崩す重要な証拠となる。
かなえ
新聞記者。原作では芽唯によって家を没落させられるヒロインだった女性。転生後の芽唯と協力し、古い新聞や記録から事件の過去を追う。
哲夫(てつお)
青鷺館の夜間係であり、歌を愛する男性。孤立している人を放っておけない性格。謎のオルゴールが奏でる旋律を知っていたことから、過去の事件へつながる証言者となる。
ii) あらすじ
目覚めると、芽唯はかつて読んだ小説『金筆夜話』の悪役になっていた。
原作の芽唯は文書を偽造し、ヒロインの家を没落させ、最後にはすべての罪を暴かれて破滅する。
そんな未来は絶対に嫌だ。
芽唯は「何があっても偽造には手を染めない」と決める。
ところが彼女が何もしなくても、原作と同じ偽造文書が次々と現れ始めた。
さらに配達人の優が、郊外の草原から奇妙なオルゴールを発見する。
底には「MOORE/ITALIA」の文字。
そして内部から現れたのは、原作で芽唯が偽造に使用したはずの金色の万年筆だった。
偽造証書。存在しない「ムーア」という人物。イタリアから運ばれた品々。逆さ吊りにすると第二の旋律を奏でるオルゴール。そして芽唯へ繰り返し突きつけられる「臆病者」という言葉。
芽唯はホテル支配人の雅哉、記者のかなえ、捜査官の涼希たちと手を組み、紙、墨、筆跡、配送時刻という小さな証拠を積み重ねていく。
やがて見えてきたのは、原作にも描かれていなかった「悪役・芽唯」の過去だった。
彼女は本当に悪女だったのか。
それとも、怖さに負けて沈黙しただけなのか。
原作通りなら破滅するその日、芽唯は逃げない。
怖くても黙らない。
自分の人生を、原作ではなく自分自身で選ぶために。
偽造された文書と、偽造された悪女の運命をひっくり返す