あらすじ
鳴瀬栞は、毎朝すべてを忘れる。
相原直がそれを知ったのは、文化祭前の月曜だった。
ゴミ箱の縁に立てかけてあった絵本を拾って、返して、と言われた。次の日、彼女は俺の名前を忘れていた。
その次の日は、顔ごと忘れていた。
彼女が抱えている絵本は、異様に厚い。
ページの隅には、鉛筆で薄く数字が書いてある。三十七。三十六。三十五。
やがて俺は、その本の枚数を数える。二百五十九枚。七で割ると、三十七。
そして知る。
俺が読んだページの文字は、二度と戻らない。
消えるのは、彼女の一日だ。
文化祭は日曜日。
彼女の祖母が綴じた白紙は、あと一枚しか残っていない。