あらすじ
小さなライブハウスを中心に活動する、五人組の男性アイドルグループ。
客席が二十人もいれば喜ぶような彼らのライブに、いつからか毎回来るようになった一人の女性がいた。
淡い着物を着て、いつも客席の一番後ろに座る七十代くらいの女性。ペンライトも持たず、物販にも来ず、ただ静かにステージを見つめ、曲が終われば丁寧に拍手をする。
彼女はいったい、誰を推しているのだろう。
そう思いながらステージに立っていた青年は、いつしかライブのたびに彼女の姿を探すようになる。
そしてある日、いつもの席から彼女の姿が消えた。
名前も知らない。話したことすらほとんどない。
それなのに、なぜこんなにも気になるのだろう。
ステージの上と客席。それぞれの場所から誰かを見つめ続けた、静かであたたかな「推す」物語です。