あらすじ
臨海病院で事務員をしている能崎は終業後にいわゆるワンオペ育児をしている。ひとり息子の夏嵐(からん)は手がかからないがひとりで過ごす困難があった。妻の曜子は仕事も家事も育児も完璧にやるひとだ。しかしある時ふらっと家から離れ、数日戻ってこない期間がある。能崎と曜子の間にできた綻びをそういう家族の形だと受け入れ努力していくのに苦悩していた。
そんな能崎を支えているのは年下の恋人である、臨海病院の研修医、三鬼だった。彼は医学生の時に当時教務課に配属されていた能崎と知り合う。研修医になってから交際を始めたふたりの関係は曜子にも知られており、能崎と三鬼と曜子と夏嵐、四人で三人家族の関係が続いていた。
能崎は三鬼先生や夏嵐、歳の離れた姉に甘えて今の生活がなんとかつづいているという状態に悩んでいる。三鬼には研修医修了後の進路で抱える課題があった。思い詰めた曜子はある時、能崎と三鬼に母親を諦めたいと自分の限界を吐露する。三人は役を決めたり取捨選択することではなく、これまで通りの関係を続けることを選んだ。
夏嵐の四歳の誕生日、記念の家族写真に三鬼が加わった。四人家族の生活が少しずつ始まろうとしていた。
妻や子と同じようにパートナーを愛し支え合いたい能崎、家族への愛はあるが日常からの離脱が必要で家庭に留まれない曜子、自分が好きだと思うものにただ愛情を注ぎたい三鬼。三者の関係に答えや明確な着地はないが、その関係を否定しないで受容し合う、あるポリアモリーの答え探しの話。