あらすじ
中学一年生の頃、廊下ですれ違うたびに目が合う、二つ上の先輩がいた。
話したことはほとんどない。
それでも、いつしか私は、その人を好きになっていた。
あの頃の私は、好きな人に話しかけることさえできないほど幼かった。
卒業を迎え、もう会えなくなると思っていた私の前に、最後に先輩が残してくれたものがあった。
それから何十年もの時が過ぎた今でも、私は時々、あの人を夢に見る。
あの時、もう少し勇気があったら。
私たちは、違う未来を歩いていたのだろうか。
今となっては、もう確かめることはできない。
ただ一度だけ、もう一度会ってみたい。
そして、もう一度だけ――
私の名前を呼んでほしい。