あらすじ
死んだら、何も考えなくていい。
十六歳の少年・悠人は、病院のベッドで死を待っていた。
死ぬことは怖くない。
むしろ、死んだ後も意識が残り続けることの方が怖かった。
やがて訪れた死。
そして目を覚ました悠人を待っていたのは――何もない、暗闇だった。
身体はない。
音もない。
光もない。
それなのに、意識だけが消えない。
終わりたくても、終われない。
そんな暗闇から逃れるため、悠人は一つの世界を想像する。
青い空。
緑の草原。
自由に動く身体。
そして、そこから始まる新しい日常。
「ここなら、何も考えなくていい」
そう思っていた。
――あの少女に出会うまでは。