あらすじ
大学を休学し、人生の選択を前にしても考えてばかりで何も決められない青年――雨宮直人、二十二歳。
復学するのか、休学を続けるのか、それとも大学を辞めるのか。
答えを出せずにいた直人へ、五歳年上の姉・美咲は、自分の勤める会社が開発したフルダイブ型VRゲームを勧める。
その名は――『UNLOCK』
広大な世界を冒険し、剣や魔法で魔物と戦うだけではない。
UNLOCK最大の特徴は、AIがプレイヤーの行動を分析し、その人物に合わせた個人スキルを生み出すシステムだった。
さらにゲーム内から直接配信できることを知った直人は、姉の「やれば?」という一言に押されるように、ゲーム配信まで始めることになる。
しかし――この男、とにかく進まない。
道端で気になるものを見つければ立ち止まり、魔物を見れば戦う前に観察し、一つの疑問が生まれれば次々と仮説を立て始める。
考えて、試して、失敗して、また考える。
そんな配信に、人が集まるはずもなかった。
最初は。
やがて、一人の視聴者が現れる。
そして二人、三人と少しずつ増えていく視聴者たちは、いつしか気づき始める。
この配信者、何かがおかしい。
誰も気にしなかったものを気にして、誰も試さなかったことを試し、誰も見つけなかったものを見つけていく。
本人は、ただ気になったから調べているだけ。
けれど、その「考えすぎる」という欠点こそが、UNLOCKという世界で少しずつ彼だけの個性へ変わっていく。
そして――
直人自身のことを観察している存在もいた。
UNLOCKを管理するAI。
ゲームは彼を分析する。
彼はゲームを考察する。
その先で生まれるものを、このときはまだ誰も知らない。
これは、人生に立ち止まっていた一人の青年がゲームの世界へ踏み出し、やがて多くの視聴者を巻き込みながら、まだ知らなかった自分自身を見つけていく物語。
UNLOCK YOURSELF.
――まだ知らない自分を、解放せよ。