あらすじ
偽造師の蓮は、依頼された偽の遺言書を作成する過程で、本物の工場主の日記に触れる。十年間磨いてきた聴覚が、自分の書く字と本物の字の「音」の違いを初めて聴き取ったとき、蓮は組織を裏切り、日記を持って逃げ出す。
一方、工場主の妻・実日子は、親族が持ち込んだ偽の遺言書に触れた瞬間、指先の感覚だけでそれが偽物だと確信する。四十年間、夫の字を見つめてきた指は誤魔化せない。
雨の夜、追われる蓮は、実日子の工場で日雇い労働をしていた身寄りのない娘・あかりと出会う。日記を託された蓮は組織に捕らえられ、暴行を受けながらも警察へ自首する。あかりが届けた日記と、蓮が払った代償が、法廷で実日子を後押しし、偽の遺言書の嘘を暴いていく。