あらすじ
高校三年生の黒瀬湊は、教室に現れた召喚魔法陣から逃げようとして、その境界に体を裂かれた。クラスメイトたちが異世界へ消えていく中、湊は死に、魂だけが召喚の道から外れて落ちていく。
たどり着いたのは、魔物が棲む地下洞窟だった。そこで死にかけのコウモリ幼体と混ざり、湊は人の手に収まるほど小さな魔物として目を覚ます。翼はろくに動かず、血を吸えるのも傷ついた獲物や死骸からだけ。
周りにいるのは、自分より強い魔物ばかりだった。生き残るため、湊は死骸の血を啜り、物陰に隠れ、弱った相手へ牙を立てる。
喰らったものを糧にステータスを上げ、進化を重ねていく。だが、洞窟の奥で口にした古い血には、小さな肉体では受け止めきれないほどの力が宿っていた。湊の体は、その熱に内側から焼かれていく。
最初に欲しかったのは、腹を満たす血と、眠っている間に襲われない小さな巣だけだった。巣の外へ出て、誰かと関わり、自分の領域を持つようになると、奪われたくないものも増えていく。
知らない人間まで守る気はないし、魔物だからといって、どこかの群れに従う気もない。自分の居場所に誰を迎えるかは自分で決める。そこを奪いに来るなら、人間でも魔物でも敵だ。
異世界へ召喚されたかつてのクラスメイトたちとも、思わぬ形で再び関わることになる。
これは、最弱のコウモリ幼体に堕ちた元高校生が、食って、隠れて、奪って、進化し、やがて人も魔物もその翼の影を恐れる存在となる物語。
※本作は「小説家になろう」にて先行公開しています。