あらすじ
「荷物持ちはな、もう要らない」
第四王子レイモンドにそう言われて、俺——バルトはパーティを追放された。
……ああ、言いやがったな。
その一言、誓約(ギアス)の解除呪文なんだよ。
一年前、酒場の飲み友達「ガレスの旦那」——正体はこの国の国王陛下——と、酔った勢いで交わした誓い。
「息子を一人前の冒険者にしてやる。ただし正体は明かさない」
そして解除の条件は、王子自身が「もう要らない」と口にすること。
つまり俺はこの一年、実力を出せない縛りつきで、あいつの尻を拭き続けていたわけだ。
夜襲を防いだ香も、宿の手配も、報酬の交渉も、毎朝の稽古も、ぜんぶ俺。
だが少し強くなった王子は、聖女と剣士を独り占めしたくなって、俺を切った。
——さて。ここからが本番だ。
俺の名はバルト。この国にただ一人のSランク冒険者、登録名「灰狼(かいろう)」。
口は悪いし酒も女も好きだが、仕事に手は抜かない主義でな。
三日で夜襲、五日で商人に断られ、七日で降格、十日で仲間が去り——そして王子は、火竜の谷へ向かう。
追放ざまぁ×勘違い×実は最強。一話完結・約一万二千字。