あらすじ
「湿度42%、気温16.5度。……あの日、僕の脳に消去不能なノイズが書き込まれた」
天才ショコラティエ・御子柴累(みこしば るい)の「聖域」である厨房は、今やパニックに陥っていた。
完璧なテンパーリング、理想的なV型結晶。すべてが完璧なはずのショコラが、なぜか激しく濁る。
原因はただひとつ──数日前に幼馴染の妹・凛(りん)から喰らった、あまりにも苛烈で熱い「口移し」の記憶だった。
「解析不能」な感情に苦しむ累のもとへ現れたのは、12年前の古い写真。
18年前、12年前、6年前……。
冷徹な論理で切り捨ててきたはずの「不器用な少女」が、実は12年もの歳月をかけて自分を追いかけ、執念でパティシエにまで上り詰めた「凛」その人だと知った時、累の精密な思考エンジンが火花を散らして停止する。
「君というデータは、僕の持っているいかなる数式でも記述できない」
「……当たり前でしょ、人間なんだから!」
12年遅れでようやく同期した、不器用すぎる天才ショコラティエと、一途すぎる暴走ヒロイン。
人生をかけた「解読不能な恋のレシピ」調整が、今始まる──!