あらすじ

「文章がきれい」「面白かった」。 そう言われるたび、美冬は、自分の小説が誰にも読まれていないような気がしていた。 投稿サイトの読者は二十三人。 そんな彼女が出会ったのは、かつて住宅営業で家を売りまくっていた、四十五歳のほぼ無職の男・春樹だった。 彼は美冬の小説を最後まで読み、言う。 「そんなに面白くなかった。でも、俺は好きだった」 そして二人は、二十四人目の読者を探し始める。 朗読、SNS、ラジオ、ZINE、書店営業。 ただし、売れる小説に書き換えるのではない。 自分が書きたいものを変えずに、それでも誰かのところまで届けるために。 やがて物語は、「どうすれば小説が売れるか」から、「なぜ自分は読まれたいのか」へと変わっていく。 上手い文章と、自分にしか書けない文章は同じなのか。 百人の「面白かった」と、一人の「この文章が好き」は、どちらが欲しいのか。 『売文』は、文学を売る話であり、それでも自分の文章を誰かに見つけてほしいと願う、物書きの欲望の話です。

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カクヨム
カクヨム2026/08/23
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