あらすじ

リーゼロッテは十二の年から、婚約先であるダルトン侯爵家の帳簿をつけている。いつ、誰に、どの順で払うのか。数字の横に自分で考えた印を並べて、傾きかけたこの家を六年間ひとりで回してきた。その印の読み方を、誰にも訊かれたことがない。そして卒業パーティーの真ん中で、婚約者のユリウスはこう言った。 「帳簿づけだろう。あんなもの、書記にでもやらせておけばいい」 かしこまりました、とリーゼロッテは一礼する。翌日、六年分の帳簿七十二冊が、荷馬車でダルトン侯爵家へ返された。ご安心ください。もう誰にも読めませんので。 ――ただ、その帳簿を六年間ずっと読んでいた男が、王城にひとりだけいた。

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小説を読もう2026/08/23
  • 現在の作品帳簿をお返しいたしますわ。ご安心ください、もう誰にも読めませんので