あらすじ
伯爵令嬢リディアは、十年以上婚約していたユリウスから婚約解消を告げられる。
理由は単純だった。
「妻にするなら、もっと華やかな女性がいい」
傷つきながらも受け入れたリディアだったが、ユリウスは続けて言った。
「婚約は終わるけれど、家のことは今まで通りお願いしたい」
その瞬間、リディアは初めて気づく。
自分は七年間、将来この家の妻になるからと、使用人の配置、商人との調整、予算、来客予定――伯爵家を回すための仕事を無償で引き受けてきたのだと。
「……では、私は何としてこちらへ伺えばよいのでしょう」
答えられない元婚約者を残し、リディアは伯爵家からも手を引いた。
やがて公爵家の次男セドリックから仕事を頼まれた彼女は、そこで初めて、自分がしてきたことに報酬と名前がつくことを知る。
一方、リディアを失った伯爵家では、誰も困らないはずだった日常が、少しずつ噛み合わなくなっていき――。
自分の価値を「役に立てるかどうか」だけで測っていた令嬢が、自分で居場所と相手を選べるようになるまでの異世界恋愛。