あらすじ
評定平均4.6。学年で3番目。
早瀬大学経済学部の指定校推薦は、1枠しかない。
高校3年の4月、テスト中のわたしを撮った6秒の動画が、校内に回った。
消しゴムを落としただけだった。証拠は何もない。
証拠がないから、わたしは校内選考から外された。
その2週間後、父の会社が潰れた。
その1週間後、母がいなくなった。
「動画の元データ、持ってる」
学年1位の同級生は、そう言って3人の名前を並べた。
1人は同じクラスにいた子。1人は図書委員で一度隣に座った子。
もう1人は、顔も知らない1年生だった。
「どれでもいい。あなたが選んで」
わたしは、思い出せない1人を選んだ。
——わたしが最初に人を売ったのは、17歳の6月だった。