あらすじ
冒険者ギルド本部の監査官、レナ・オルディス。
彼女がカドレンへ派遣された目的は、崩壊寸前の地方支部を立て直すことではない。数字と現場を確認し、存続の見込みがなければ閉鎖勧告を出すことだった。
人は減り、依頼は滞り、収入も落ちる。残った者たちには余力がなく、救助や巡回のような採算の取りにくい仕事ほど支部を圧迫していた。
だが監査を進めるうち、レナは気づく。
誰も拾わなくなった小口依頼。依頼票になる前の地域の困り事。雑草として捨てられていた根。そして、利益にならないからこそ失われかけていた救援の役割。
彼女だけが持つ《真価鑑定》も、答えを教えてはくれない。見えるのは、物に隠された性質を示す曖昧な言葉だけ。役に立つか、売れるか、どう使うかは、自分たちで確かめるしかない。
小さく試し、失敗を記録し、使える条件だけを残す。
閉鎖するために来た監査官は、やがて「この支部を残すべきか」ではなく、「残す価値のある仕事を、続けられる形にできるか」を問うことになる。
これは、見過ごされた人・物・仕事の価値を拾い直し、救援を善意ではなく続けられる仕組みへ変えていく、冒険者ギルド再建の物語。