あらすじ
目を覚ますと、俺は一本の木の杭になっていた。
手もない。足もない。動くこともできない。
しかも、どうやらここは異世界らしい。
そんな俺に与えられたのは、ひとつの不思議な力。
それは――人の役に立つことで「神力」を貯め、一定量に達すると別の存在へ転生できるというものだった。
最初は何もできない杭。
やがて街道の標識となり、村人や旅人の道案内をするようになる。
ある日、暴走する手引き台車から獣人の少女を守ったことで、初めて神力を得たことを知る。
そして長い年月をかけて、人々の暮らしや村の発展を見守り続けた俺は、いつしか歴史資産として大切にされる存在になっていた。
そして――二度目の転生。
次に俺がなったのは、川に架かる木製の橋だった。人々が俺の上を歩き、馬車が渡り、商人たちが行き交う。
杭から始まった俺の転生は、まだ終わらない。
文明が発展するたび、俺もまた別の姿へ生まれ変わっていく。
果たして、次は何になるのか?
そして、何度転生すれば――俺はもう一度、人間になれるのだろうか。
これは、一人の男が「物」として文明の歴史を見つめながら、何度も転生を繰り返し、いつか人間へ戻るまでの物語。