あらすじ
齢十五にして、宮仕えの試験を主席で突破した少年――相良吉光。
彼が配属されたのは、都の罪人を取り締まる検非違使庁だった。
吉光には、誰にも言えない秘密がある。
右手に巻かれた灰色の数珠と、皮膚を蝕むように広がる不気味な痣。そして、触れた場所や人に残された過去を「視る」異能。
初仕事で出会ったのは、お上の米を盗んだとして捕らえられた一人の男。
しかし、吉光が視た過去は罪状とは食い違っていた。
「……何か、おかしいです」
気怠げで妖しい色気を纏う長官・西郷政則。
吉光を支える武官・香月寿光。
そして、彼の異能に深く関わる巫女・凛月。
宮中に渦巻く陰謀と怪異を追うほど、吉光の数珠は灰色に染まり、身体の痣は少しずつ広がっていく。
正しさを求めるたび、人ならざるものへ近づいていく少年。
そして彼の奥底では、何者かが囁いていた。
――『黙って、我に体を授けろ』
これは、華やかな宮中の裏側に潜む罪と怪異、そして人ならざるものをその身に宿した少年を巡る、和風宮中異聞譚。