あらすじ
「私は、私ではない少女として生きる。」
目を覚ますと、30代の男だったはずの「俺」は、見知らぬ部屋のベッドにいた。
身体が妙に軽い。
見慣れない可愛らしいパジャマ。
そして、昨日まで確かにあったはずの「男の証」がない。
鏡に映っていたのは、幼い少女の姿だった。
名前は――野下しのぶ。
どうやら自分は、かつての自分と同じ名前を持つ小学生の少女になってしまったらしい。
戸惑いながら学校へ向かった「俺」を待っていたのは、幼なじみだという少女・深見紗々美だった。
しかし、「俺」には彼女との思い出がない。
昨日まで大切な幼なじみだったはずの「しのぶ」を失った紗々美。
その事実に気づいた「俺」は、彼女に償うことを決意する。
だが、その日一日だけでも、体調を崩して吐いてしまったり、女の子としての生活に戸惑ったり、周囲から心ない言葉を浴びせられたりと、30代の男だった「俺」にとっては想像以上に過酷なものだった。
それでも、そんな自分を何度も助けてくれる紗々美の姿を見て、「俺」は思う。
この子は、本当に優しい。
そして――自分は、この子から大切な「しのぶ」を奪ってしまったのだ。
そんな中、「俺」は夢を見る。
そこに描かれていたのは、自分が知らない「一週目」の物語。
病弱で、いつも誰かに守られていた少女・野下しのぶ。
そして、そんな彼女を誰よりも大切にしていた幼なじみ・深見紗々美。
二人は互いを支え合っていた。
しかし、ある出来事をきっかけに紗々美は命を絶ち、しのぶは大切な幼なじみを失ってしまう。
そして今――。
「俺」は、その悲劇の続きを生きることになった。
これは、少女になった男の物語ではない。
一度失われた少女の人生を、もう一度やり直す物語。
「しのぶちゃん」を演じるのではない。
自分なりの「しのぶ」を作る。
そして今度こそ、大切な幼なじみを守る。
「私は、私ではない少女として生きる。」
その言葉を胸に、「俺」は二度目の人生を歩き始める。