あらすじ
九州の西に浮かぶ離島・汐路島。
高校二年生の平山紬は、亡くなった祖母の家を片づけながら、卒業後に島を出る日を待っていた。
そんな折、台風によって海底送水管が破損。島の水が尽きようとするなか、頼みの古井戸から汲み上げられたのは、潮の味がする水だった。
その夜、紬は井戸の水面に青い衣の少女を見る。
「私は水を生みません。ただ、水が通った道を覚えているだけ」
自らを「水守」と名乗る少女が示したのは、祖母の童歌と、島から忘れ去られた古い水路。
水守は奇跡を起こさない。
閉ざされた水の道を開くかどうか、選ぶのは人間だった。
これは、三十六の伝承にはまだ記されていない、現代に生まれた新たな水守の物語。
水は、道を忘れない。
忘れるのは、いつも人の方だからだ。