あらすじ
粉骨砕身・滅私奉公で働き続けた詞荷科(しにか)美央(よしお)は、令和8年2月、徹夜の接待麻雀明けに居眠り運転で事故死した。目覚めた先は1981年、創業間もない海星堂(かいせいどう)商会の新入社員としての体だった。前世で30年以上勤め上げ、東証スタンダード市場上場までを見届けたこの会社が、これからどう成長していくのか、俺はその軌跡を未来の記憶として知っている。その成長の原動力こそ、性格最悪にして権謀術数に長けた鬼の会長・凄樺(せいか)玖芳子(くよしこ)だった。得意先を麻雀接待させる非情な業務命令、あざとい駆け引き、私欲まみれの経営手腕。俺は未来を知る強みを武器に、彼女の懐(ふところ)に食い込み、社内の主導権を握り、玖芳子(くよしこ)の野心を上場という頂点まで巧みに押し上げていく。表向きは忠実な右腕を演じながら、裏では着々と、いつか彼女に引導を渡すための布石を積み重ねていった。そして迎えた上場記念式典、彼女が最も輝くはずのその瞬間に、俺は静かに、しかし容赦なく牙を剥(む)く。用済みとなった鬼の女帝を、丸めたゴミのように奈落(ならくの底へ突き落とし、俺は上場企業の会長という椅子で、悠々自適のスローライフを手に入れる――社畜として死んだ男が贈る、最高のリベンジ劇である。