あらすじ
戦争が、終わった。
人間、獣人、エルフ、ドワーフ――あらゆる種族と国家を巻き込み、世界そのものを壊しかけた大戦は、長い年月を経てようやく終結した。
それから一年。
街には人々の笑い声が戻り、止まっていた鉄道は再び走り始め、世界は少しずつ日常を取り戻そうとしている。
けれど。
戦争によって壊れたものすべてが、元に戻ったわけではない。
素のスペックで圧倒的に劣る人類が他種族へ対抗するため、禁忌とされた《魔導刻印》をその身に刻んだ特殊部隊。
一人で戦局すら覆した彼らは、英雄として戦争を生き抜いた。
そして――気づけば皆、壊れていた。
どれほど傷ついても身体が元通りに《修復》する代わりに、人間としての本来の感覚も失いつつある男、ハイレン。
あまりにも多くの兵器や敵と《同調》したことで、自分と他者、過去と現在の境界すら曖昧になってしまった女、モルネア。
人間には到底不可能な《演算》を繰り返した代償として、一日のほとんどを眠って過ごす女、エイル。
超人的な《感覚》を手に入れたものの、平時でも世界から入ってくる刺激が強すぎるあまりに、まともな日常生活が送れない少女、ヨミ。
その他にも、世界はまだまだ壊れている。
戦争によって取り残された兵士たち。
放棄された兵器。
破壊された街。
未だ憎しみ合う種族。
そして、自分たち自身。
戦争が残したものを一つずつ拾いながら、彼らは傷だらけの世界を旅していく。
これは、世界を救った英雄たちの物語ではない。
世界を救ったあと、壊れてしまった人々が、それでも生きていくための物語だ。