あらすじ
「お前のような事務員、代わりなどいくらでもいるんだよ!」
大陸最大級のギルド『黄金錠』で、魔物の生態・行動・弱点を解析し続けて十年。
筆頭解析官レイ・ウォードは、看板冒険者たちに手柄を奪われた末、一方的にクビを宣告された。
レイは怒鳴り散らすこともなく、淡々とギルドを去る。
「資料の持ち出しはしていませんよ。――全部、俺の頭に入っていますから」
翌日、街の掲示板に一枚の紙が張り出された。
そこには、ギルドが『死者多数の超難関』と偽って高額な討伐料をぼったくっていた魔物の【誰でも3分でノーダメージ完封できる手順】が書かれていた。
「これ……街の薬草と、ただの短剣があれば勝てるってことか……?」
半信半疑で試した底辺の新人冒険者が、格上の中堅魔物をあっさり撃破。
情報は瞬く間に都市中へ、そして世界中へと拡散していく。
「秘伝」を失ったぼったくりギルドは即座に破産。
独占されていた技術、高額な粗悪武器、利権まみれの魔法――
レイが気まぐれに情報をばら撒くたび、腐った既得権益が音を立てて崩壊していく。
当のレイは、情報で救われた元雑用少女ミナと共にのんびり街角で過ごしていた。
「俺は世界最強になりたいわけじゃない。ただ、知っていれば誰も死なずに済むだろう?」
これは、戦わずして世界をひっくり返した男の、規格外の知略ファンタジー。