あらすじ
「お前の魔力は不快だ」
冬夜会で一方的に婚約を破棄され、吹雪の街道へ放り出された伯爵令嬢リゼット。
人の魔力を“音”として拾ってしまう彼女にとって、世界はいつも針の雨のように騒がしかった。
凍えかけた彼女を拾ったのは、「氷の魔王」と恐れられる北境公爵レオンハルト。八年前の呪いによって、音も匂いも触覚も痛みに変わり、眠ることすらできない男だった。
なのに、彼からだけは何の魔力音もしない。
そして彼もまた、リゼットの心音を聞いている時だけ痛みから解放され、眠ることができた。
「私を眠らせてほしい」
「では、契約にしてください。鍵のかかる自室と、辞める自由を」
安眠係として始まった二人の同居。
リゼットは魔導炉の異常を聞き分ける職能を得て、レオンハルトは彼女へ触れる前に手を止めることを覚えていく。
そんな二人を、彼女を捨てた家族と元婚約者は“価値ある娘”として取り戻そうとし、国の管理局は“保護”の名で囲い込もうとする。
やがて彼の呪いが解け、リゼットの心音は必要ではなくなる。
必要だから隣にいた二人は、それでも互いを望めるのか。
一人でも眠れる二人が、それでも同じ夜を選ぶ、相互救済の異世界恋愛。
全20話完結。ざまぁあり、ハッピーエンドです。