あらすじ
慶応四年八月二十三日。会津若松に、戊辰戦争の戦火が迫っていた。
城へ入る支度に追われる家族をよそに、山本八重は土間に座り、兄・覚馬から贈られたスペンサー銃を静かに手入れする。銃身を拭い、機関部を確かめ、弾薬を用意する。
それは武器を整える作業であると同時に、迫り来る戦いへ向けて、自らの心を整える時間でもあった。「……おっかね」 恐怖を隠すことなく呟いた八重は、それでも最後に銃を手に取る。そして、会津の空を砲声が震わせる中――。
「……いぐか」 二十四歳の女性が、故郷と家族を守るため戦場へ向かう。
これは、会津の山本八重が銃を手にした、その朝を静かに描写する歴史短編。
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本作は、山龍遼士郎さまの自主企画「名もなき人々の、物語【歴史・時代小説】」参加作品です。