あらすじ
それは、虚構だった。
緑豊かな大地と巨大な建築物。
そこに、自分は居た気がした。
映像が突如乱れて切り替わる。
鮮明となる意識、けれど、何かを忘れているような。
そうだ。
何も思い出せない。
自分の事すらもだ。
暗闇の中だった。
そして、肺を何かが満たしているかのようだ。
水、いや、これはなんの液体だろうか。
呼吸は出来る。
けれど、僕の体は得体の知れない状況に藻掻いた。
体のどこかが外壁に当たり、ハルトの体は液体と共に排出される。
「はぁっ……はぁ……っ……ここは」
薄暗く冷たいコンクリートの部屋。
六つのカプセルは中がぼんやりと光っている。
振り返ると、自分は七つ目に居たのだと分かる。
役目を終えたのか、はたまた機能を失ったのか、そのカプセルは黙して動かない。
流れ出た液体もやがてコンクリートに吸われていった。