あらすじ

離婚届に署名する日、元夫は「もう愛していない」と言った。音紋監査官の橘澄音には、その声が本物だと分かる。けれど、呼吸の間、部屋の残響、語尾に残った空白だけが、別の日に録られた言葉だと告げていた。証明できるのに、澄音は離婚を選んだ。仕事と愛情を、もう誰かの都合で混ぜたくなかったからだ。翌朝、冷徹弁護士になった元夫が、彼女の独立した監査室を訪れる。「君にしか切れない偽装音声がある」遺言、職場の同意、内部告発。誰かの人生を閉じるために編集された声を、澄音は一件ずつ監査していく。だが、すべての音声には、八年前に失踪した母・千景が残した同じ無音が混ざっていた。玲司が離婚を選んだ理由も、母が消えた夜の録音も、まだ公開されていない。元夫の「愛していない」は、音紋だけが嘘をつく。信頼をやり直すか、証拠だけを残すか。澄音は自分の耳で、もう一度選ぶ。

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エブリスタ
エブリスタ2026/08/22
  • 現在の作品元夫の「愛していない」は、音紋だけが嘘をつく ~離婚した私が、冷徹弁護士と偽装音声事件を追います~