あらすじ
「お前は"落第"だ」
魔法適性ゼロ。婚約者には大衆の前で捨てられ、教師にはとっくに見限られている。
三年間、詠唱は一度も発動しなかった。測定器は俺に触れると、うんともすんとも言わない。だから納得していた。俺は空っぽなんだと。
――なら、なんで測定器のほうが割れたんだ?
地下に、五百年封じられた《古の魔王》がいた。世界を滅ぼしかけた災厄。目を覚ました化け物が、俺を見て笑った。
「お前だ。五百年、お前を待っていた」
現代の魔法はまがいもの。本物を狩り、都合よく歴史を書き換えたのが、今の王家の祖――"英雄"。空っぽと蔑まれた俺の体は、狩られて消えたはずの本物を、丸ごと呑み込める。
契約した。
落第は、落第のまま。誰にも気取られず、静かにやる。俺を嗤った奴らも、捨てた女も、玉座で歴史を偽る連中も、いずれ全部。
――俺が"本物"だと知ってるのは、今はまだ、あんただけだ。